大学入学共通テスト 英語リスニングの勉強法

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、2020年まで行われてきた「センター試験」の後継として、2021年度からスタートした試験で、国立大学受験には必須の試験であり、多くの私立大学も共通テスト利用入試として活用しています。

英語については、共通テストから、リーディング100点(試験時間80分)、リスニング100点(試験時間30分)の計200点満点で、リスニングの比率が50%へ高まり、リスニングが今まで以上に重要になりました。(センター試験は、リーディング200点、リスニング50点の250点満点を0.8倍に圧縮して200点満点へ換算)

ここでは、共通テストのリスニング攻略に向けた勉強方法を記載していきます。

試験問題に慣れる

問題形式を把握する

共通テストを含めて、どの試験にも特徴がありますので、自分が受験する試験の問題形式を把握し、慣れることはとても大切です。共通テストの過去問が掲載されている問題集を購入し、さっそく2021年度の問題を解いてみましょう。

なお、試験問題を解くタイミングですが、まずは1回分を早めに解いてしまいましょう。自分が目指すゴールと自分の現状を知って初めて、そのギャップが分かります。ギャップが分からない限りは、対策を立てようがないので、まず一度、過去問を解きましょう。

  • 2021年度(第1日程・第2日程)の共通テストの英語リスニング問題の構成は以下の通りで、大問が6つ、問題数37問の100点満点で、試験時間は30分です。
  • 注意するべきは読み上げ回数で、大問3からは音声は1回しか流れません。
  • 平均点:第1日程56.16点 / 第2日程55.01点

(※)全問正解のみ配点あり

問題文に先に目を通す

さて、具体的な試験の受け方について記載します。まず、リスニング音声が始まる前に、問題の設問に目を通しておきましょう。

2021年度共通テスト(第1日程)の、大問1A 問2を参考例として、確認してみます。
※出典 大学入試センター

第1問Aは、問1から問4までの4問です。英語を聞き、それぞれの内容と最もよく合っているものを、四つの選択肢(1-4)のうちから一つずつ選びなさい。

問2

1.The speaker wants to find the beach.

2.The speaker wants to know about the beach.

3.The speaker wants to see a map of the beach.

4.The speaker wants to visit the beach.

  • 選択肢は共通して、The speakerが主語、the beachが目的語に含まれているので、この問題は、動詞の判定ができれば正解となります。
  • 実際は、事前に確認できる時間はとても短いので、さっと目を通して、beachに関する問題だと当たりをつける程度でも十分です。
  • 選択肢に使われている英単語が音声で流れる可能性がかなり高いので、それだけでも、聞き取りに有利ですし、落ち着いて聞くことにつながります。

問題の音声も聞いてみましょう。以下の空欄に聞き取った英単語を入れてみてください。

 

問2

_______ _______ _______ _______ this weekend?
Ah, I know.
_______ _______ Sunset Beach?


いかがでしたか、聞き取れましたか?

正解は…
Where can we go this weekend? 
Ah, I know. 
How about Sunset Beach?

先頭の疑問詞に注意する

質問文のはじめの疑問詞(What, Where, When, Who, Which, Why, Howなど)は、答えを出すにあたって大切です。

  • Where can we go this weekend? (週末はどこに行こうか)
    Where(どこ)が聞き取れると「場所をたずねている」ことが分かり、
  • How about Sunset Beach?のHow about(…はどうだろうか)が聞き取れると「Sunset Beachに行きたい」ことが分かります。
  • 問2は、4.The speaker wants to visit the beach.(話し手はビーチを訪ねたい)が正解です。

疑問詞を置く位置は(一部の用法を除いて)先頭なので、出だしを特に注意してリスニングすることを意識しましょう。

気持ちを切り替えて次に進む

「問題文に目を通す」「先頭の疑問詞に注意する」の次は「分からなかったら、気持ちを切り替えて次に進む」です。

音声が聞こえなかったら、それは仕方ありません。悩んでいると、すぐ次の問題が始まってしまい、次の問題の「問題文に目を通す」「先頭の疑問詞に注意する」ことができなくなり、悩んでいる問題だけでなく、次の問題を落とすことにもなりかねません。これが続くと負の連鎖となり、気持ちが焦ってしまい集中力が切れて、総崩れすることもありえます。

分からなかったら、スパッとあきらめましょう。ただ、マークシートはどれでもよいのでマークしておくことをオススメします。空欄があると、マークする問題自体を間違えてしまうかもしれません。

ディクテーションで細部まで聞き取る

試験問題に慣れることは大切ですが、もっと大切なことがあります。リスニング力そのものを鍛えることです。私自身も行っているお勧めのリスニング強化の方法はディクテーションです。共通テストで言えば、短文を正確に聞き取る必要のある大問1から大問3に、ディクテーションが特に有効です。

ディクテーションとは

ディクテーションとは聞こえてくる英語の音声を書き取ることです。 ディクテーションをするにあたって用意するものは以下の3点です。

    1. 筆記用具
      • ノートとペンがあればOKです。
    2. リスニング音源と再生デバイス
      • 英語音声に対して、単語一つひとつを聞き取れるよう何度も流すので、音声のCD付きか、音声をダウンロードできる過去問を購入しましょう。
      • ストリーミング再生のみは、インターネット環境がないと練習できない点と、音声を何度も再生しやすい仕様になっているか購入してからでないと判断できない点にご注意ください。
      • 音声を再生するデバイスは、CDプレーヤー、PC、スマートフォンなど、ご自身が使いやすいものを選びましょう。
    3. リスニング音源のスクリプト
      • スクリプト(音声の原稿)は、書き取った英語が正しいか、答え合わせをするのに必要です。 

実際の問題で練習する

2021年度共通テスト(第1日程)の大問1A 問1を使って、実際にディクテーションをしてみましょう。
※出典 大学入試センター

聞き取った英単語を、以下の空欄に入れていってください。

 

問1

_______ _______ _______ some more _______?
_______ _______ _______.

 

正解は…
Can I have some more juice?
I’m still thirsty
(ジュースをもう少しいただけますか。まだ喉が渇いています。)

設問は以下です。

英語を聞き、それぞれの内容と最もよく合っているものを、四つの選択肢(1-4)のうちから一つずつ選びなさい。

1.The speaker does not want any juice.

2.The speaker is asking for some juice.

3.The speaker is serving some juice.

4.The speaker will not drink any juice.

正解は…

2. The speaker is asking for some juice.
(スピーカーはジュースを欲しがっている。)

書き取れない要因と対策

英語で書き取り(ディクテーション)ができましたでしょうか。書き取りができない主な要因としては

  1. 単語を知らない
  2. 単語を知っていても発音ができない
  3. 音と音のつながりが発音できない
  4. スピードが速すぎる

ことが考えられます。

  • 「1.単語を知らない」と当然ながら、書き取りができません。
  • 「2.単語を知っていても発音ができない」と聞き取れず、書き取れません。自分が発音できる音は聞き取れるのですが、自分が発音できない音は聞き取りができない現実があります。
  • この問1の問題は、thirsty(喉が渇いた)が正解につながるカギとなる単語です。thirstyは中学生で学習する英単語ですが、発音をおろそかにしていると聞き取れない可能性があります。
  • 単語集を活用して、単語力をつけていきましょう。ただし、単語集は、単語の意味を目で追うだけでなく、単語の音声を聞いて、実際に口に出して発音するところまで練習することをオススメします。このメリットは、リスニングやスピーキングで活きてきますが、目で見て覚えるだけよりも、耳で聞いて、口に出して覚えるほうが、単語の定着もしやすいです。
  • 「3.音と音のつながり」は、リエゾンやリンキングと呼ばれますが、書き取りをして初めて認識できることが多いです。Can I は、2単語をそれぞれはっきり言うのではなく、「Can」「I」 のnとIを「nai(ナイ)」とつなげて発音します。このつながりを知らないと、聞き取りもできません。
  • 書き取りをした後は、スクリプト(音声の原稿)を見て英文を確認し、音声を流しながら、後を追いかけるように音読しましょう(シャドーイングと言います)。繰り返しますが、 自分が発音できない音は聞き取りができません。書き取るだけでなく、音読することもセットで練習しましょう。
  • 「4.スピードが速すぎる」については、場合によってはディクテーションの題材を考える必要がありますが、共通テストのリスニングのスピードは慣れておきたいところです。大問1, 大問2は長さが短いので、まずはこちらから書き取りの練習をしていくと良いでしょう。

ディクテーションのやり方

ディクテーションのやり方を整理します。

  1. 音声を聞きながら書き取り(ディクテーション)をする。
    • 音声再生回数は5回前後が目安
    • 人名などの固有名詞は書き取る必要はない。
    • 難しければ短い文章で行う。(共通テストでは、大問1, 大問2)
  2. スクリプトを見て、書き取れなかったところを確認する。
    • スクリプトを確認することで、単語のつづりや発音を覚えることにもつながります。
    • 自分の書き取った英文とスクリプトを照らし合わせることで、正しい英文になっているか文法を確認できるメリットもあります。
  3. スクリプトを見て、音声を流しながら音読する。(シャドーイング)
    • 英語を発音することはスピーキングとリスニングの両方のトレーニングになります。
    • 音読することで、英文そのものが自分の中に定着するメリットもあります。
    • スクリプトを見ないで音声を流しながら音読すると、レベルがもう一段階上がり、定着のための仕上げの活動としてお勧めです。
  • ディクテーションは、ノートとペン、再生デバイスが必要なのと、何度も繰り返し聞くことになるので、時間と手間がかかりますが、成果も大きいのでオススメです。
  • 共通テストでディクテーションをする場合、大問1, 大問2は、音声が短いので、ディクテーションしやすいです。また、音声が短いということは、正解へ導くための材料が少ないことも意味するので、正確に聞き取る必要があり、ディクテーションの効果が出やすいです。
  • ディクテーションできる長さとしては、大問1, 大問2, 大問3までが妥当です(せいぜい大問4Aまで)。大問3までで配点は100点中59点あります。大問3までは、単語も易しい単語が続きますので、ここまでで点数を落とさないよう、正確に聞き取る、書き取るディクテーションのトレーニングをして備えましょう。なお、大問1,2は読み上げ回数が2回ですが、大問3からは読み上げ回数が1回になるので、より一層の注意が必要です。
  • 大問4B, 5, 6は音声が長いので、ディクテーション向きではありません。大問4-6の学習法については後述します。

ディクテーションのおすすめツール

パソコンをお使いの方のみとなりますが、音声再生フリーソフトOkoshiyasu2(おこしやす2)を使うと、音声再生スピードを変えることができたり、聞き取れない箇所のみを何度も再生できる区間リピート機能があったりと便利です。

ディクテーションをノートに書くとなかなか大変なので、私はOkoshiyasu2を使って音声を流し、Windowsのメモ帳にタイピングして練習しています。

Okoshiyasu2(おこしやす2)については、以下のサイトの説明が分かりやすいのでご紹介しておきますね。

リスニング量を増やす・要約する

共通テストの問題文の単語数や読上時間

ディクテーションを中心にリスニングの学習方法について記載しましたが、大問4, 大問5, 大問6と、共通テストは問題が進むごとに聞き取る量も増えます。

2021年度(第1日程)の共通テストの問題文の単語数、読上回数、読上時間は以下の通りです。

  • 大問4B以降からは、150単語から300単語の長さの英文を聞き取る力が必要です。
  • 1分30秒から3分程度の英文を聞き取ることになります。
    WPM(Words Per Minute/1分あたり単語数)は、130-150単語/分です。
  • 大問3からは、読み上げ回数は1回なので、1回聞いただけで内容を理解するトレーニングが必要です。

リスニング量を増やす

ディクテーションは細部まで聞き取るトレーニングとして、短文を用いるとやりやすいですが、ディクテーションとは別に、長文を聞き取るトレーニングが必要です。リスニング力はすぐ身につくものではありませんので、日ごろから、まとまった量の英文を聞く練習をしていきましょう。

リスニングで聞く英文の量は、共通テストの問題を考えると、単語数100-250、1-3分の長さを目安としておくとよいと思います。最初は短い英文リスニングから初めて、徐々にハードルを上げていくとよいでしょう。

リスニング内容を要約する

長文のリスニングに慣れることに加えて、問題を解くには、リスニング内容を理解することが必要です。

  • ただ聞き流しているだけでは、内容を理解できるようにはなりません。音声を聞きながら、どんな内容か、自分で要約することを意識していきましょう。
  • 速読英単語など、スクリプト付きの長文音声で練習する方法としては
    1. 英文を見ずに、何回かリスニングをして、内容を大まかに確認してみましょう。どんな内容だったか、日本語で口に出してみると、理解度がすぐ分かります。
    2. ある程度内容がつかめたら、英文を読み、正確な意味を確認します。文法・単語も確認することも忘れずに。
    3. 再び音声を流しながら、音声の後を追いかけるようにして音読(シャドーイング)しましょう。リーディング・リスニング・単語・文法と総合的に学習することができますね。
  • 始めは、リスニングを通して、日本語で要約できるレベルに至るまで、何度も音声を再生する必要があるかと思いますが、継続は力なりです。1回で内容を把握できることを目標に、日々コツコツと英語を聞き、理解する習慣をつけていきましょう。

リーディングも大切

リスニングは、文章の構成要素である英単語や、正しく文章を理解する英文法、そして音を認識するための発音など、基礎が固まるほど、力もついてきます。

それに加えて、リーディングも大切です。

  • 大問4, 大問5は図表を読み取ったり、記入する問題が中心です。大問6も図表を選択する問題があります。冒頭で記載したように、図表を含めた問題文に先に目を通すことが大切です。
  • 共通テストのリーディングも、同様に図表を読み取る・記入する問題が出題されるので、問題演習を重ねて、図表問題に慣れていきましょう。リーディングのトレーニングを重ねると、速く読めるようになり、問題文に先に目を通すことも楽になってきます。
  • 2021年度の共通テストのリスニング問題では、第1日程で幸福感についての講義(大問5)や、レシートの電子化についての対話文(大問6B)、第2日程で生態系についての講義(大問5)や、選挙についての対話文(大問6B)が出題されています。自分で馴染みのあるトピックであれば、それだけ理解は楽になりますし、全く知らないトピックであれば、苦戦を強いられます。日ごろから、幅広いトピックの英文を読むことが、良い結果へ結びつきやすいです。
  • 「発音できる」と「聞き取れる」は表裏一体です。日ごろから英文を読み、問題を解く際も、仕上げに音読をしましょう。学習時間は限られていますので、リーディングの学習時間を、リスニングのために活かさない手はありません。また目で読むだけよりも、口に出すことで定着も高まります。リーディング教材は、音声つきですと音読しやすいので便利ですよ。

リーディング・リスニング、どちらに偏ることなく学習することが、共通テストでよい結果をだすために、そして英語を生きた言葉として使っていくためにも大切です。

その他

共通テストの過去問ですが、以下の書籍が、設問一つ一つ丁寧に解説をしていて、とても分かりやすいです。
共通テスト(2021年度) 第1日程, 第2日程の過去問をそれぞれを収録しているので、実際の問題を解いて、解説で解き方を確認することができます。

【過去問】×【解説】×【実況動画】 やさしくひもとく共通テスト 英語リスニング
学研プラス

皆さんが良い結果を出せることを願っています。

Good luck with you studies!

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